Chapter8 お引越し
ええと、どうしてもワタシの性に合わなかった例のばーさんなんですが、入ってこられた当時から嫌な予感はしておりました。
「うちなぁ、病院のテレビはみぃひんねん。ほらこのスマホで見るからな。」
「透析中のおもちゃ、色々持ってきてんねん。CDいっぱいな。うちは洋楽とか映画音楽しか聴けへんさかいな。」
「パソコンで検索してな、ずっと自分で食事療法してきたんや。」
「あ、その薬はうちには効かへん。先生に言っといてんか。」
「株の配当金の件で銀行さん来るから、椅子欲しいねんけど。」
などなどまくしたて続け、どんな相手であっても相槌くらいしか許さない勢い。
病院を渡り歩き、各々のシステムもだいたい把握して、怖いもんなしのイケイケばーさんでしたね。
おんとし84歳。
いや、エライとは思うんですよ?
よく勉強されてるし知識も豊富。
かなりリスキーな透析も前向きに取り組んでおられるし。
しか〜し!
これほど我が強いキョーレツキャラは、弱ってるワタシには辛すぎました。
そして”今すぐ何とかしろ事件”勃発。
その夜、ワタシは3回目の手術を済ませたばかりの絶対安静状態でした。
ばーさんの方は3日ほど前に足の手術を終え経過観察期。
これまでも痛い辛い眠れないを繰り返してはナースコールを連打していましたが、その夜は特にひどく、「何でうちがこんなしんどい思いせなならんの⁉︎ 今すぐどうにかして!」と午前2時すぎに看護師さんに食ってかかる始末。
はぁ〜、子供か・・・?
翌朝、ワタシにいたく同情してくれた夜勤の看護師さんが手配して、605号室から603号室にお引越しとなったのでした。
その後はいたって平和に過ごせましたが、2部屋またいでも時折聞こえるばーさんの大声のおしゃべり。
あの方はこれからもあのまんまを貫いていかれるのでしょうね。
さて次回はミニマリストもどきの簡素な入院グッズを大公開。